消極財産(マイナスの財産)が積極財産(プラスの財産)よりも多い(多いかもしれない)場合に執りうる手段として、相続放棄のほかに、限定承認があります。
限定承認とは、遺産の中の積極財産の範囲内でのみ、消極財産(債務等)や遺贈を支払うという留保付きで相続を承認する制度です。
限定承認は、相続人の全員が一致して行わなければならず、1人でも応じない人がいるとできません。
限定承認を行うためには、家庭裁判所に申立てを行う必要があります。
限定承認を申し立てると、家庭裁判所が、相続人の中から相続財産清算人を選任し、相続財産清算人に選任された人が遺産の清算手続を行うことになります。この清算手続が面倒(煩雑)であることが、限定承認の最大のデメリットです。よほどの事情がなければ、相談を受けた際に限定承認をお勧めすることはしていません。
遺産を相続したことで自分の財産がマイナスになることは避けたいけど、どうしても受け継ぎたい物がある場合や、もしかすると積極財産の方が多いかもしれず、その場合には残った積極財産を相続したい場合には、限定承認を行うメリットがあると言えるでしょう。
限定承認を行うべきかどうかの判断は非常に難しいものですので、弁護士にご相談のうえで、決めていただいた方が良いでしょう。